訓読 >>> 我(わ)が屋戸(やど)に韓藍(からあゐ)蒔(ま)き生(お)ほし枯(か)れぬれど懲(こ)りずてまたも蒔かむとぞ思ふ 要旨 >>> わが家の庭に、鶏頭花を種から育てたところ枯れてしまった。けれども懲りずにまた種を蒔こうと思う。 鑑賞 >>> 山部赤人の歌。「韓藍」は鶏冠草(とさかぐさ)ともいい、今の鶏頭(けいとう)です。夏から秋にかけて鶏のトサカに似た極彩色の花が咲きます。もとは熱帯アジア原産で、奈良時代に大陸から伝わり、珍重されました。赤人も、せっせとガーデニングに精出していたのか、あるいは、その鮮烈な花の色を女性に対する恋心に喩えているともいわれます。失恋を意味しているのでしょうか。