自身が出走するレースでわざと着順を落とし、高額配当を演出。そのレースの舟券を親戚経由で購入するという八百長事件……2020年1月8日、ボートレース界に大きな衝撃を与える事件が明るみに出た。 ボートレース史上最大の八百長事件はなぜ起きたのか。事件の中心人物であった元競艇選手西川昌希氏の手記『競艇と暴力団「八百長レーサー」の告白』より、その背景を紹介する。 ◇◇◇ ヤクザの息子として育った幼少期 子どものころは、大きくなったら自分はヤクザになるものと思っていた。 幼い時分に実の両親が離婚し、俺は母方の親類だった「弘道会」幹部に預けられ、「ヤクザの子」として育った。小学生時代から組の行事に参加し、中学時代にはパチスロ、ナイター競輪、裏ポーカーとバクチ三昧の生活。組のシノギがあったおかげで何不自由することない生活を送り、俺はワルのエリートだった。 だが中学生のとき、その「育ての父」が、自身が所属す