日本政治学会2004年度研究会・2004年10月2日 共通論題A 日本の左翼??過去・現在・未来 「戦後政治における左翼の役割と限界」 山口二郎 北海道大学法学研究科 引用不可 戦後政治における左翼の役割と限界 はじめに???本報告の問題意識 本論に入る前に、本報告の問題意識について説明しておきたい。左翼という言葉は、多義的、論争的なものであり、まず本論における定義をしておく必要がある。ここでは、ノルベルト・ボッビオの定義にしたがって、政治権力を使って平等を実現することに積極的な政党・政治集団を左翼と呼び、これに反対するものを右翼と呼ぶことにする(Bobbio, 1996)。もちろん、左翼(右翼)の構成要素には、他にもいくつかの重要なものがある。しかし、現在の政党政治における対立構図を考える上では、あとで述べるように、このボッビオの定義が最も有意義であると考えられる。 そして、左