マイペースでやってるからね。 文句あるなら他に頼めば? 俺は全然平気っすよ?
雑誌『WIRED』日本版の編集長を約6年にわたってつとめてきた編集者、若林恵さん。 デジタルテクノロジーをテーマにしたメディアでありながら、その扱う対象はカルチャーやビジネスやライフスタイル全般に広がり、「死」や「ことば」や「アフリカ」など独自の切り口で社会と文化のあり方を切り取ってきた。 4月に刊行された初の著書『さよなら未来 エディターズ・クロニクル 2010-2017』は、そんな若林さんの文章をまとめた一冊。『WIRED』に掲載されたコラムや取材記事を中心に、音楽ジャーナリストとしての仕事や個人ブログの音楽評論なども収録されている。 本書に一貫しているのは、さまざまな分野において「なぜそれがそうなっているのか」ということを根本から問い直し、ときにシニカルに、ときに丹念に違和感を解きほぐしていくような筆致だ。 結果、テクノロジーを軸にしながらも、「未来」という言葉の常識やイメージにとら
「お前、脳みそ入ってんのか?」と問われて、私には脳みそが入っているのかどうか不安になった。 私の頭蓋骨の中に脳みそが入っているのかどうかを確かめることは、相当に難儀することが予想された。なぜなら私は脳外科医ではなくパン屋だからだ。 食パンを切る尋常ではない形のナイフとピザを切り分けるローラーみたいなやつしか見当たらかなったので、それで手術を敢行した。 妻は接客をしている。今がチャンスだ。万が一私に脳みそが入っていなかった際の妻のショックは計り知れないだろう。なぜなら私たちは、私の頭の中に脳みそが入っているという暗黙の了解の元に結婚したからだ。離婚などとなったら誰がパン屋の接客をすればいいのか。 3時間の奮闘の末に頭蓋骨を取り外した。ピザを切り分けるローラーみたいなやつは頭蓋骨を切り分けることもできるとわかったことが収穫であった。 よし、いよいよ自分に脳みそが入っているのかどうか確かめるぞ。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く