このような考え方は、いまもそれほど変わっていない。 とりわけ幹部が報告の場に立つときには、失敗して恥をかかせぬよう部下は万全の準備をする。手持ち資料にはタイムテーブルに沿った発言内容があらかじめ記され、どんな質問があっても答えられるような想定問答や、議論の展開に応じていくつかのシナリオも用意される。そうした資料づくりに費やされる部下の時間と労力は膨大なものになる。 蛇足になるが大学のレポートや卒業論文も、たいてい「○万字以上」と決められている。そして長いほど評価される傾向がある。考えてみれば、わざわざ冗長な悪文を推奨しているようなものだ。 女性活躍に立ちはだかる「見えない壁」 ところで働き方改革のもう1つの目玉は女性の活躍や、ダイバーシティ、すなわち多様な人材の活用である。そこでもまた「裏の承認」文化が障害になる。 現実に家事や育児の負担を担っている女性は、男性と同じように遅くまで残業する