平成23年3月28日ニューヨーカー紙「東京からの絵はがき」大江健三郎 http://www.newyorker.com/talk/2011/03/28/110328ta_talk_oe -------------------------------------------------------------- 【訳】 偶然だが、私は地震の前日、数日後の朝日新聞の朝刊に掲載された記事を書いていた。 その記事は1954年のビキニ環礁における水爆実験で被爆した漁師に関する記事だった。 私が彼のことを聞いたのは19歳のときだった。後に彼は核抑止力の神話とそれを支持する 人々の傲慢さを批難するのに生涯を捧げた。あの大震災の前日にあの漁師を思い起こすことに なったのは一種の悲しい予兆だろうか。彼はまた原子力発電所とそれがもたらす 危険性とも戦った。私は日本の近年の歴史を次の3つのグループの人々の視点を