出崎統が死んだが、ニュースでは「あしたのジョー」が挙げられていた。しかし、出崎といったらまず「ガンバの冒険」である。私は初回放送の時は観なかったから再放送で観たが、まあだいたい ノロイの声が怖くないということで話は盛り上がるのである。毎回最後は出崎得意の「止め絵」だが、ある回で、例によって冒険のあとでガンバが仲間たちと再会して、親友のボーボと抱き合うのだが、その時ガンバが、他の仲間の体をするりとよけるようにしてボーボへ突進する、それが印象に残っている。なお原作『冒険者たち』の斎藤惇夫は、『ガンバとカワウソの冒険』など、今日まで四作しか創作は書いていない。 『カワウソの』は1983年、私が大学二年の時に出て絶賛され、野間児童文芸賞をとったのだが、これはまあ、それほどの作ではない。児童文学サークルにいた私は、学園祭で受賞作を並べるという企画をして、『ちいちゃんのかげおくり』なんかと一緒にこれを