相模原市緑区の「津久井やまゆり園」で19人が犠牲になり、27人が負傷した事件は26日で発生から1カ月。生死のふちから戻り、絆を確かめ合う家族がいる一方、帰らぬ入所者を悼む人も多い。施設に残された人たちは日常を取り戻すため、懸命の歩みを続ける。 「一矢(かずや)、一矢、無事でいてくれ」。7月26日早朝、神奈川県座間市に住む尾野剛志(たかし)さん(72)とチキ子さん(74)は知人からの電話で事件を知った。車で園に駆けつけると、医療スタッフや警察官たちで騒然となっていた。職員から見せられた名簿には、無事だった入居者の欄に息子の一矢さん(43)の名はなかった。 搬送先の病院で、医師から「首やのど、腹に傷がある」と説明を受けた。腹から背中まで突き通るほどの傷があり、腸はちぎれていたという。「明日、意識を取り戻すかどうかです」と告げられた。 集中治療室には、人工呼吸器をつけた一矢さんがいた。看護師と話