「部下に仕事を振れない」「残業時間削減目標が達成できない」--。働き方改革が盛り上がる中、会社の目標と現場の板挟みになる管理職が続出している。なぜ彼らは自分のワーク・ライフ・バランスを犠牲にするのか? どんなタイプが疲弊しやすいのか? 働き方改革の陰でひそかに広がる「課長クライシス」を、ライターの西川敦子さんがリポートする。【毎日新聞医療プレミア】 ◇部下に仕事を振れない上司が急増中 東京・京橋駅に近いオフィスビル。木曜日の午後8時、フロアの明かりが一斉に消えた。一心不乱にキーボードを叩いていた課長の吉澤浩さん(仮名、41歳)がふと顔を上げると、周囲の人影はすっかりまばらになっていた。 今日も若手の営業同行や会議に追われ、あっという間に1日が過ぎてしまった。来週に控えた社内プレゼンの資料はまだ仕上がっていない。本当なら部下に振りたかったが、1人は2児の母親で短時間勤務だし、もう1人は噂によ