平成から令和になって久しいが、日本経済の回復は今一つである。新型コロナウイルス感染症の流行に加えて、ロシアによるウクライナ侵略戦争の長期化、石油をはじめとする化石燃料の高騰、円安と日本を悩ますさまざまな問題を、快刀乱麻を断つように解決してくれる政治家の登場が待たれる。もし、タイムマシンがあって日本の歴史をさかのぼり、外交、政治、経済に明るい人物を連れてくるとしたら誰か。明治以降であれば我が国の基礎を築いた大久保利通、大恐慌を乗り切った名蔵相高橋是清や関東大震災から東京を復興させた後藤新平、そして陸奥宗光や石井菊次郎などの名外交官が思い浮かぶが、内政外交経済を一人で切り回した古今の能吏というと石田三成だろうか。 「柿には毒があるのでいらない」 石田三成は永禄3(1560)年、近江長浜の地侍の家に生まれ、寺で小僧をしていた15歳の頃、長浜城主であった羽柴秀吉に見いだされ、家臣となった。鷹(たか