2月に封切られた映画「ウォールストリート」をご覧になっただろうか。 1987年の前作「ウォール街」では、主人公の1人、ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)が「強欲は善だ(Greed is virtue.)」と株主を扇動し、敵対的な企業買収で大儲けする。傲慢、強欲のゲッコーは実に憎々しい。しかし最後はどんでん返しが起こり、インサイダー取引違反で刑務所行きとなった。観客は「悪の栄えは続かず」のエンディングにほっと胸をなで下ろして終わった。 今回の続編はゲッコーが長い刑期を終えて出所してくるところから始まる。時は米国が住宅バブルの頂点から金融危機に転げ落ちる局面だ。自分の経験を本に書いてベストセラーになったゲッコーは再び大学の講演会でこう言って聴衆を沸かす。 「昔、私は“強欲は善だ”と言ったが、今はこう言おう。“欲は合法だ”」 ゲッコーは住宅ローンの証券化によってファイナンスされた住宅ブーム