関連記事: 天下晴れての人殺し 関東大震災時の朝鮮人に関するデマの中に、「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいる」というものがあった。 常識的に考えて、来るかどうかもわからない、仮に来るとしてもいつどこに来るか見当もつかない大災害時の混乱を狙って大量の毒物を用意しておくなど、あり得るはずがない。 これは今だから後知恵で言えることではなく、当時の時点でも既に明確だった。医療評論家の橋爪恵(橋爪檳榔子)氏が震災後の新聞に書いている。 読売新聞 1923年11月2日 よみうり婦人欄: 汲んでも汲み尽せぬ 井戸に入れる毒 流言蜚語の優等賞 橋爪恵(上)そんな毒薬は手に入らぬ 今度の災害で、先ず何よりも多くの人々の脳裡にきざみ込まれたのは、化学品の恐るべく、あなどるべかさるの一事であった。(略) 更に奇怪極まる化学力の脅威は、鮮人や主義者が、未曾有な天変地異を利用して、井戸の水に毒薬を投げ込んだといふ言葉