「特定秘密保護法」の問題性 ――原則と例外の逆転へ 水島 朝穂/早稲田大学法学学術院教授 「開かれた政府」を標榜する民主主義国家においては、情報の公開が原則であって、秘密は例外的にのみ認められる。秘密保護には特別の正当化が必要となる。日本にも、国家公務員法や地方公務員法、自衛隊法、刑事特別法、日米相互防衛援助協定(MDA) に伴う秘密保護法など、秘密保護に関する法的仕組みがすでに存在している。それぞれに問題点を含むが、ここへきて、安倍政権は新たな「特定秘密保護法」を制定しようとしている。これは、日本における、戦後初の包括的な秘密保護法制になるだろう。安倍晋三首相の好む言葉で言えば、戦前のような秘密保護法制を「取り戻す」可能性が高い。なぜ、いま、新たな秘密保護法が必要なのか。この法律の制定を正当化しうる理由(立法事実)は何か。 政府は、従来からの外国情報機関等による情報収集活動による情報漏洩