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これまでのあらすじ 左翼だったはずの祖父は、日の丸大好きっ子だった― その真意を確かめるべく、僕は祖父の言葉を探す旅に出た。 祖父の長い旅 祖父の長い長い旅 1982年。 それは沖縄が日本に復帰して十年が経った年であると同時に、この文章を書いている人間が生まれた年でもある。祖父は、初孫である僕の誕生をこのうえなく喜んだというのだけれども、同じ年に祖父がのこした文章は、これまでない苦痛と混乱に満ちていた。 「われわれは嘘つきだ」 「沖縄の海が滅びるというのなら、それでもいい」 「私は無念だった。今でも夢にまでみる」 それが国会図書館にのこされた祖父の最後の言葉だったのだけど、正直にいえば、僕にはそれほどよい文章には思えなかった。強すぎる言葉は、つながりを欠いていて、全てが唐突に突きつけられているように感じられる。ブロガーの書く文章に似ているな、と思った。特に、はてな育ちで、Yを頭文字に持つブ
それにしても、人類はなんと恐ろしいものを思いついてしまったのだろう。 その建物を前に、僕は人類の業の深さにおののいていた。 国会図書館。ここには、この国で発行されたほとんどの出版物が収まられているという。 インターネットは確かに偉大な技術だし、はじめて納豆を食べた人間の勇気は永遠に称えられるべきだと思うけれど、人類史上最もヤバい思いつきをひとつだけあげるとするなら、やはりそれは「文字」にほかならないだろう。約五千年前に発明されたというこのテクノロジーは、はるか彼方の人間に声を届けることができるだけではなく、死者の声すら地上に留めおくことができるのだ。 時間と空間を超越し、生と死を弄ぶ。まさしく、神をも恐れぬ所業。人類の狂気の生み出した産物である。 僕は想像する。暗闇の中で、何百万もの生者と死者が、暗闇の中でじっと聴き手を待ちつづけている姿を。 何とも恐ろしい話だが、さりとて怖がってばかりも
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