樹木希林さんが亡くなったのは2018年9月。もう3年以上が過ぎた。亡くなった後、続々と樹木さんの本が出版され、どれもよく売れたようだったが、彼女の「ことば」が求められていたということだろうか。 確かに、大ベストセラーになった『一切なりゆき~樹木希林のことば~』(文春新書)を読んでも、ほんとうに身に沁(し)みることばがたくさんある。死を意識し、すべてを悟ったような晩年の言動とあいまって、ほとんど聖人扱いされていたといっても過言ではあるまい。 しかし、「そうではない樹木希林」を読むことができる本がある。『心底惚れた 樹木希林の異性懇談』(中央公論新社)だ。