図書館や書店で哲学書の棚の前に立つと、不思議な気持ちになることがある。ここにこれだけたくさんの本があるけれど、ここに書かれていることはほとんどが間違っている。同じテーマについて書かれた、何千円もする重厚な専門書を2冊選んで手に取ってみる。すると、全く逆のことが書かれていたりする。哲学という分野に特有とまでは言わないが、しかし哲学書に特にこの傾向が強いとは言えるだろう。 繰り返すが、哲学書に書かれていることは、ほとんどが間違っている。しかも、専門書になればなるほど、多くの間違いが含まれている。これは、私の本や、私以外の著者によって書かれた哲学書を読む方に、どうしても知っておいてほしいことである。 なぜそんなことが起こるのか。それは、間違うリスクをとることなしには、哲学的に意味のあることを言うことはできないからである。もちろんわざと間違いを言うわけではない。哲学者たちは皆、誠実に、自分が正しい