NTT出版から出した私の修士論文(1997)が、絶版になって久しい。古本では入手できるようだが、最近、古いPCを捨てるときファイルを整理していたら、そのLaTeXファイルが出てきたので、コンパイルしてみた。PDFファイルで、約800KB。索引が抜けているほか、少しバグがあるが、ほぼ全文(192ページ)が復元できた。 これは最近、藤本隆宏氏などが言っているモジュール化の概念を、日本で初めて(Baldwin-Clarkとは独立に)提示し、契約理論で説明したもので、日経図書文化賞の候補になった。戦前からの日本企業のコーポレート・ガバナンスをゲーム理論で分析した「歴史的制度分析」の一種ともいえる。日本の「伝統的労使関係」と思われているのは1960年代以降に形成されたもので、「日本人はすり合わせじゃないとだめだ」とか「終身雇用は日本の文化だ」などというのは神話である。 そうした労使関係や系列関係