ピンク色のスカートで、ビール樽を背負うはずだった… まだ会社員だったころ、甲子園へ高校野球を観に行った。何気に、わたしにとっては毎年恒例の行事である。あだち充みつるの漫画に焦こがれすぎたゆえの行動力。 高校野球っていったらもう、青春の代名詞じゃないですか。かくいうわたしもね、してた。青春。 甲子園球場の売り子のバイトを、大学生時代に。 ほら、あれですよ。わかりますか。ピンク色のスカートはいて、ビールの樽たる背負って。 「アサヒスーパードルァァイいかがですかー?」って。客席の花形ともいえる。 正直、あこがれてた。はちゃめちゃにあこがれてた。 父から「お前には浅倉南の“南”って名前をつけようとした」っていわれた記憶を、勇気に変えて。甲子園球場の浅倉南に、わたしはなりたかった。 そんで売り子に応募して。トントン拍子びょうしで受かって。 「いやー、すこぶる順調。生まれもってのスターだわこれは」くら