『死んで生き返りましたれぽ』の初版帯には「どんな形でもたっちゃんが生きててよかったと思うよ」という言葉が刷り込まれている。 ■正しいこと、美しいことが人を救うとは限らない 実のことをいうと、僕は美辞麗句というものを信じない。正確にいえば「信じない」というよりも「どうしようもなく無力だ」と思っている。 美辞麗句というのは、たとえば「人生は美しい」とか「命は尊い」とかそういう言葉だ。それは、たぶんまぁ、正しい。正しいし、そういうものが正しいといえる世界でなければならないと思っている。だけど、一方で「そりゃそうだけど、それが何だっていうんだよ」とも思う。美辞麗句、世界の美しさ、命の輝き、そういうものを本当に必要とするのは、死にたいほどに追い詰められ、傷つき、疲れ果てた人だ。だから、人はそういう人間に「生きていることは素晴らしい」と必死に語りかける。そうしたくなる。 だけど、今まさに疲弊しきってい