11月4 松沢裕作『生きづらい明治社会』(岩波ジュニア新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 『自由民権運動』(岩波新書)や『町村合併から生まれた日本近代』(講談社選書メチエ)などで明治期の社会変動を分析してきた著者が、ジュニア新書という媒体で明治期の社会変動がもたらした「生きづらさ」を現代社会に重ねる形で書いた本。 歴史学者の手によるものながら「文学的」な印象を受ける本で、ちょうど司馬遼太郎の描く「明るい」明治と好対照をなすものとなっています。 能力による立身出世の道がひらけた明治。しかし、それは「立身出世できない人間=怠け者」という図式が立ち上がってきた社会でもあったのです。 目次は以下の通り。 第1章 突然景気が悪くなる―松方デフレと負債農民騒擾 第2章 その日暮らしの人びと―都市下層社会 第3章 貧困者への冷たい視線―恤救規則 第4章 小さな政府と努力する人びと―通俗道徳 第5章