岩波茂雄(1881-1946)は昭和20年9月に脳溢血で倒れた。同年12月、雑誌「世界」が吉野源三郎(1899-1981)を編集長に、安倍能成(1883-1966)を最高責任者として、「世界1946年1月号」が発刊された。記念すべき第1号の執筆者は、安倍能成、美濃部達吉、大内兵衛、和辻哲郎、横田喜三郎、東畑精一、三宅雪嶺、武者小路実篤、長与善郎、宮塚清、桑原武夫、中村光夫、湯川秀樹、尾崎咢堂、谷川徹三、羽仁説子、H・バイアス、岩波茂雄である。雑誌「岩波」は創刊以来60有余年、良質な情報と深い学識に支えられた評論によって、戦後史を切り拓いてきた雑誌である。おそらく、バックナンバーを読みたいときは、普通のレベルの公共図書館ならば永年保存して書庫にあるはずである。 ところが、最近はどうやら事情が変わってきた。保存スペースに限界がきている図書館では、永年保存を有限保存に、あるいは一挙に廃棄するとこ