ある世代以上の人は、ばかでかい留守番電話機を覚えているはずだ。昔の留守番電話機は音声をアナログ信号の形で磁気テープに記録する仕組みを用いていて、かさばる大量のテープを頻繁に巻き戻したり交換したりしなくてはならなかった。 やがて、音声をデジタル化して記録する小型の留守番電話機が登場。さまざまなソフトウエアが開発されて、新しい機能が次々と搭載されていった。 デジタル化が実現した結果、もはや留守番電話機という機械すら必要なくなった。電話会社がネットワーク内にソフトウエアを用意するだけで、利用者に留守番電話サービスを提供することが可能になった。利用者は留守番電話機を放り捨てて、電話会社の留守番電話サービスに契約すればいい。 こうして、機械という物体がバーチャル(仮想)な存在に変容した。比喩的に言えば、機械がネットワークという「クラウド(雲)」の中に蒸発したのである。 同じことが企業のデータセンター