2016年は安倍内閣が新たに掲げた「一億総活躍社会」の実現に向けた具体策がより展開されるであろう。旧「三本の矢」である、金融緩和に基づくデフレ脱却、財政的な景気刺激対策、規制緩和のさらなる推進を契機とした民間投資の推進、これらの総括がどこかの段階で必要ではあるのだが、三政策をベースとしながら、少子高齢化社会への対策を強化することによって労働力供給の制約を緩和する点に新しさが追加されてきたと考えられる。いずれにせよ経済成長を大目標としているから、バブル経済崩壊以後の日本経済が直面している低成長状態の改善が政策課題として持続していることが示唆される。我々は20年近くこの課題にとりくんでおり、時間としては長いとはいえ、同質的な経済構造と似たような政策課題が続くかぎり、バブル経済崩壊以後の日本経済に区切りをつけることは依然として難しく、2016年も引続き1つの時代が進むことが予想される―言わば「失