毛織物で海外の高級ブランドの信頼を獲得、売上高の15%を稼ぐ。手織りのサンプルを毎日作り続けることで、価格競争から一線を画す戦略が奏功した。流行を追わず、独自の信念を貫く姿勢で、さらなる売り上げ拡大を目指す。 カラカラと糸車の音が聞こえてくる小さな工房。羊毛の織物製造、販売を手がける日本ホームスパンは、いわて花巻空港から東に10kmほど行った岩手県花巻市東和町にある。 人口1万人。静かでゆっくりと時間が流れるこの町に、同社の前身となる菊池ホームスパン民芸社が設立されたのは1955年4月だ。創業から50年以上が経つ、老舗の毛織物工房が、日本ホームスパンになる。 社名にも掲げているホームスパンは「家(ホーム)」で「羊毛を紡ぐ(スパン)」という意味。産業革命が起こる以前の製造法だ。この伝統技術を受け継ぐ日本ホームスパンは、フランスの超がつくほど有名なラグジュアリーブランドへ、毎年納品している。2