世界の新興市場はおおむね、03〜07年の好況期並みの経済成長を回復している。だがロシアは例外だ。世界的な金融危機から2年、いまだに成長率の予測値が下落し続けている途上国はごくわずか。ロシアはその1つだ。 確かに損害は大きかった。ロシア経済は一時、ピーク時に比べて10%以上も縮小した。主要な新興国が続々と損失を取り戻すなか、ロシアは今も最後尾であがいている。金融危機以前の水準にまで戻れるのは11年末だろう。 ロシアはなぜ成長力を失ってしまったのか。この10年間はロシアも、一応平均的な新興国並みのペースで成長を遂げてきた。追い風になったのは世界的な過剰流動性や資源価格の高騰だ。こうした要因は今も健在で、ブラジルなどの国々の経済を再び牽引している。だがロシアは、今の追い風に乗れずにいる。 技術依存型の産業が不足 ロシアが経済成長の次なる段階へ移行するには、その経済モデルを大きく変える必要がありそ