長男の由宇介、次男の貴夫を共に後継者とし、同時に社長へ就任させる――。2008年6月にそう決断したとき、マスコミや周囲からの批判にさらされることは覚悟のうえでした。 「社長が複数いる会社」なんて私自身、聞いたことがなかったし、外部から見れば「2人の息子かわいさに、後継者を絞りきれなかった親の愚行」と映ることは間違いありません。「羽鳥は何という親バカ」「上場企業としてあるまじき会社の私物化」……。この前代未聞の人事を発表した途端、そんな声が飛んでくるのは明らかでした。 羽鳥 兼市(はとり・けんいち)氏 1940年福島県生まれ、70歳。59年、福島県立須賀川高校卒業後、父親が経営する自動車整備工場の羽鳥自動車工業に入社。66年、義兄と自動車修理などを手掛ける羽鳥総業を立ち上げたが、76年手形詐欺に遭い倒産。同年、中古車販売の東京マイカー販売を設立。94年、買い取りを専業化し、ガリバーインターナ
山崎 良兵 日経ビジネス副編集長 日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部などを経て、2017年1月から日経ビジネス副編集長。 この著者の記事を見る
吉川良三(よしかわ・りょうぞう)氏 1940年生まれ。64年日立製作所に入社後、ソフトウエア開発を担当し、CAD/CAMに関する論文を多数発表した。日本鋼管(現JFEホールディングス)を経て、94年に韓国サムスン電子に入社。常務としてデジタル技術を活用した設計・開発の業務革新を担当した。帰国後、2004年より東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員として、日本と海外の製造業を比較研究している。 主な著書に『危機の経営~サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』(講談社、畑村洋太郎氏との共著)。(写真:中村 宏) ―― サムスン電子の役員として約10年間働いた経験をお持ちです。成長が続くサムスンの人材育成にはどのような特徴があるのでしょうか。 吉川 実はサムスンの人材育成は、日本企業に学んだ社員教育の手法が基盤になっています。サムスングループの創業者であるイ・ビ
ジャーナリスト。アジア・ビズ・フォーラム主宰。上海財経大学公共経済管理学院・公共経営修士(MPA)。およそ15年滞在した上海で情報誌創刊、“市井の息遣い”から時代の変遷をウォッチ。「中国取材はデッサンと同じ。あらゆる角度から取材して光と影で実像をつかむ」を持論に30年近く中国に向き合う。近年は中国からの人や資本の流入をフォロー。ダイヤモンド・オンライン「ChinaReport」は10年を超える長寿コラム。 著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、『インバウンドの罠』(時事出版)『バングラデシュ成長企業』(共著、カナリアコミュニケーションズ)、『ポストコロナと中国の世界観』(集広舎)ほか。内外情勢調査会、関西経営管理協会登録講師。宅地建物取引士。3匹の猫の里親。 China Report 中国は今 90年代より20年超、中国最新事情と日中ビジネス最前線について上海を中心に
コストを抑えつつ、社員の会話力を引き上げる秘策とは? 非英語圏の企業が競い合うグローバル人材育成の最前線 経済危機を機に、企業は研修の投資効果を本気で検証し始めた。試験を使った実践力アップ戦略から「英語を教えない」アプローチまで、グローバルビジネスの即戦力になる語学力を効率よく伸ばす試みに注目が集まっている。 いすゞ自動車の総務人事部で働く40代の吉岡尚人には最近、前向きなオーラが漂っている。英語力向上という明確な目標があるからだ。朝4時半に起きて、インターネットで配信されるNHKラジオのビジネス英語講座を聞き、通勤電車ではiPodでとにかく大量にリスニングする。 最近のテーマは、コストを掛けずに英語力を磨くこと。休日は、図書館で借りたゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ前会長の著書を読む。英語を話す場を求めて参加している非営利のスピーチサークル、トーストマスターズクラブは
――戴懿・浦莱科咨詢 (上海)有限公司、上海浦莱科人力源有限公司、PRECC総裁に聞く 組織よりも個人を重視するのが当たり前と言われる中国人だが、現地に進出している日系企業のカルチャーを尊重し、利点を吸収する意欲を持たなければ、競争に勝ち残ることは難しい。それは、日系企業にとっても同様だ。「中国人材ビジネスの草分け的存在」と言われる浦莱科(集団)公司(PRECC)の戴懿総裁は、自身が携わった人材育成のプロセスを振り返りながら、企業が「欲しがるだけ」の経営から脱却することの重要性を熱弁する。 浦莱科(集団)公司(PRECC)の戴懿総裁は、日本企業と中国企業の間に横たわる「人材育成の溝」を鋭く指摘し、「欲しがるだけの経営」では、中国で人材を育てることはできないと語る。 ――戴さんが中国で起業されるまでの経緯を教えてください。 高校卒業後、横浜国立大学経済学部に留学し、日本文部省奨学生として大学
社員同士を競争させず、全員を優秀なSE(システムエンジニア)に育てることを目指す──。 こんな独自の人事評価と社員育成に取り組む会社が、企業の人事関係者の間で注目を集めている。 東京海上日動火災保険の全額出資の子会社で、東京海上グループに所属する企業の情報システムの開発などを手がける東京海上日動システムズだ。 人事制度のコンサルティング会社の助言に従わず、独自の制度の導入に踏み切った真意を、同社の横塚裕志社長が打ち明ける。 (構成は中野目 純一 日経ビジネス記者) 当社では、社員同士を競争させない人事評価制度を採用しています。 その中身は、レベルの高いSE(システムエンジニア)に共通して見られる32項目ほどのコンピテンシー(行動特性)を規定し、それらを社員が実行できているかどうかを絶対評価で判定するものです。相対評価で社員を比較して、優劣をつけることはしません。 コンピテンシーに照らして社
今、会社という組織に求められていることは、上司のリーダーシップと社員のモチベーション。当たり前のことですが、大きな会社ほどここに大きなほころびが表れているような気がしてなりません。 例えば、上司に対してもの言えぬ会社の何と多いことか。あちこちで聞いてがくぜんとしました。クライアントや取引先の会議で上司を差し置いて、部下が勝手に意見を言うと怒られるのです。仕事が分かっていない、常識がないという理由で、です。こうなると、面白い意見だけれど、前例がないから言うのが怖い。企画をするときでも、上司の反応だけが気になって仕方がない。こういうことが日常になってしまうのです。 私は幸い、外資系で多くの仕事をしてきましたから、誰が相手でも、比較的自由に意見が言える環境でした。それどころか、自分らしい意見を言わないと重用されないというプレッシャーまでありましたから。 時代がこういう状況に陥り、とにかく新しいこ
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