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ブックマーク / honz.jp (8)

  • 2022年 今年の一冊 - HONZ HONZメンバーが、今年最高の一冊を決める!

    HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊、今年で12回目を迎えるところとなりました。メンバーそれぞれが好きなを、好きなタイミングで送ってくるので、毎回順番をどうしようかと頭を悩ませます…。今年は12回目を記念し(?)、基に立ち返って名字を五十音順に並べてみました。 最大勢力となったのはア行とナ行。ア行が「うんこ→肉→防災アプリ→なめらかな社会→銀河文字」と美しき旋律を奏でれば、ナ行も負けじと「川口浩→介護→フロイト→金玉→いい子症候群」と華麗にビート刻む。それぞれ一人ずつしかいなかったマ行・ワ行も、来年は仲間集めに勤しむことだろう。 そんなわけで今年も、メンバーそれぞれの「今年最も○○な一冊」を紹介していきます。 アーヤ藍  今年最も「旅にぴったりだった」一冊 今年はコロナ禍以来はじめて海外に飛んだ。久しぶりすぎてパスポートの期限が切れていることに直前まで気づかなかったほど、旅の感覚が鈍

    2022年 今年の一冊 - HONZ HONZメンバーが、今年最高の一冊を決める!
  • 『ステレオタイプの科学』 色眼鏡で見られると本当にできなくなってしまう - HONZ

    「女性は数字に弱い」「高齢者は記憶力がわるい」「日人はアフリカ系の人に比べて身体能力で劣っている」。わたしたちはしばしば過度の一般化を行い、特定のステレオタイプをとおして周囲の人を眺めてしまう。そして、そうしたステレオタイプがときとして深刻な偏見や差別を生み出してしまうことは、多くの人が知っているとおりである。 だが、ステレオタイプがもたらす悪影響はどうやらそれだけではないようだ。なんと、否定的なステレオタイプをとおして眺められると、眺められたその人は、学業やスポーツ、仕事などで実際にパフォーマンスが落ちてしまうというのだ。 書は、アメリカの著名な社会心理学者クロード・スティールによるものである。スティールを有名にした研究のひとつが、「ステレオタイプ脅威(stereotype threat)」に関するものである。そして、そのステレオタイプ脅威こそが、先に述べたパフォーマンスの低下を引き

    『ステレオタイプの科学』 色眼鏡で見られると本当にできなくなってしまう - HONZ
  • 時系列に沿った「因果の物語」が通じなくなった世の中で生まれた新しい哲学『時間とテクノロジー』 - HONZ

    たとえばあなたが会社員で、「あなたはなぜその部署で働いているのか」と質問されたとしよう。自分で志望した、先輩に推薦された、いきなり指名された、など様々な理由があると思う。そしてあなたは今、その理由を過去に遡り、上司や同僚との会話、これまでの人事移動、そして大学で勉強していた頃の風景を思い返しているかもしれない。 今の自分を鑑みる時、過去を振り返る。過去が今の自分を築いてきたと、無意識のうちに信じている。書ではその無意識な感覚に問いかける。当に過去の出来事が今の自分につながっているのか。自分だけではなく、周りの人々や社会情勢まで視野を広げてみる。この、”世界を時系列・因果関係の中で捉える感覚”は、この先どこまで通用するのだろうか。 書によると、科学の進歩によって私たちの時間の感覚が変わってきている。たとえば音楽について、iTunesなどのネット配信サービスのおかげでその場ですぐに音楽

    時系列に沿った「因果の物語」が通じなくなった世の中で生まれた新しい哲学『時間とテクノロジー』 - HONZ
  • 『ラディカル・マーケット』ラディカルなマーケットが創造する、平等で寛容で成長する社会とは - HONZ

    書は、マイクロソフト首席研究員兼イェール大学客員研究員のグレン・ワイルと、シカゴ大学ロースクール教授のエリック・ポズナーによる共著である。 34歳の社会工学者・経済学者ワイルは、書を監訳している大阪大学の安田洋祐准教授のプリンストン大学留学時代のオフィスメートで、同大学を首席で卒業して直ぐに大学院に進学し、経済学博士号をわずか1年で取得した大秀才だと言う。 この辺りの詳細は、安田氏が東洋経済オンラインに書いているのでそちらに譲るとして、書はその「ラディカル」(Radical)というタイトル通りに、「過激で急進的で根的な」市場改革の書である。 現代社会のOS(オペレーティングシステム)である資主義は、広い意味での市場の存在を前提に成り立っている。更にその根幹にあるのが、財産の私的所有を保証している私有財産制である。 「(神の)見えざる手」で有名な『国富論』の著者で、「近代経済学の父

    『ラディカル・マーケット』ラディカルなマーケットが創造する、平等で寛容で成長する社会とは - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
  • 均衡としての汚職──『コラプション:なぜ汚職は起こるのか』 - HONZ

    いったいなぜ汚職が起こるのか、と言われても、それが発生する人間心理についてはそう不可思議な点はない。乱用できる権力があり、さらにそれを振りかざすことで利益が手に入るのであれば、そうすることもあるだろう、と容易く想像できてしまう。 「やるだろうな」と想像できる一方で、賄賂などを受け取ることによるリスク(法律違反による逮捕や、糾弾などの制裁)がある時、賄賂をためらうこともある。たとえば、日で交通違反で止められたからといって警官に賄賂を渡して見逃してもらおうとする人はそう多くはない。それは、少なくとも日においてはそうした汚職を実行することで逆に自分がまずい状況に陥ることが容易に想像できるからだ。汚職に手を汚すかどうかには、リスクと利益の均衡が関わってくる。書は、そうした汚職についてのより詳細なメカニズムを解き明かしていく一冊である。 書の中で取り上げられていく話題としては、たとえば、民主

    均衡としての汚職──『コラプション:なぜ汚職は起こるのか』 - HONZ
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
  • 『迷いを断つためのストア哲学』現代人が共感しやすい「普通」の感覚の哲学 - HONZ

    「ストア派」は、紀元前5世紀のソクラテスの思想から派生したヘレニズム哲学の一派で、紀元前3世紀初頭にキプロス島出身のゼノンが創始した。「ストア哲学」ともいう。 ストアという名は哲学者のゼノンが、古代ギリシャの都市アテナイの列柱廊(ストア・ポイキレ)で自らの思想を説いたことに因(ちな)んだもので、英語の「ストイック」はこれを語源としている。 ストア派はヘレニズム時代からローマ帝国時代にかけて最盛期を迎えた。 「哲人皇帝」と呼ばれ『自省録』で有名なマルクス・アウレリウスをはじめ、多くの皇帝がストア派を信奉した。またストア派は、皇帝ネロの顧問を務め、『人生の短さについて』などの名著を残したセネカや、『語録』『提要』を著したエピクテトスなど、高名な哲学者を輩出した。しかしその後、ローマ帝国に広まったキリスト教の教義と相いれないことから廃れていった。 ストア哲学が今でも人々の心を捉えるのは、物事に正

    『迷いを断つためのストア哲学』現代人が共感しやすい「普通」の感覚の哲学 - HONZ
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