忘れたくない想いを、一回のシャッターに込める 目覚めて消えてしまう寸前の、忘れたくない夢の映像をもしそのまま焼き付けたら、きっとこんな写真になるのじゃないだろうか。そんなことをふっと思わせる、市橋織江さんの作品。風景、人物、動物、もの。被写体はバリエーションに富んでいても、すぐに市橋さんの作品とわかる独特の淡く柔らかな色彩と世界観は、多くの人を魅了してやまない。 「特に“自分らしさ”を意識して撮るということはないです。カメラやフィルムもごく普通のものを使っているし。たとえば青っぽい写真ばかり撮る写真家さんがいるとして、それはきっと、その人の目には世界はそんな風にすべて青く見えてるからだと思うんですよ。私の場合も同じで、私の目には風景がこう見えているから、こういう写真になるんでしょうね」 「常に焦っているようなところがあるんです。どこか刹那的というか…。目の前にある景色も、人との出会いも、そ