山の向こうのワンナイトリゾート 辞めるときに色々言われたけど僕の中で情状酌量の余地はなかった。大雪で止まりかけた山手線と、スーツケースに使っていたHDDとマウスとMacBookを詰め込んで上野発の夜行列車に飛び乗った。ちなみに津軽海峡・冬景色とはわずか8小節で上野から青森まで移動する、世界最速の演歌である。青森駅で降りたけど何もなかった、くしゃくしゃになったパーラメントに火をつけながら海を見たりした。そのままスーツケースを持ったまま素泊まりできる宿を探した。クレジットカードが使えるかと聴いたら女将っぽい人に面倒くさそうに断られたりした。なんとか部屋を借りると、部屋のデリバリーでお湯入りの魔法瓶と安っぽいボトルを頼み、くだらないペイチャンネルを見ながら、その後も意識は持続して、いくつかの悪夢や楽しいシーンを脳内で経た。徐々に意識はフェードアウトしていって、何もない眠りへと落ちていった。 上野