きつく目を閉じた瞬間、平衡感覚がおかしくなった。体が傾いていて、妙な浮遊感に捕らわれる。直後、ぐいっと引き寄せられて「ぼんやりするな、馬鹿者」と小声の早口で叱られた。フェルディナンドの声だ。とりあえず、自分を捕まえている腕にしがみついておくことにした。 これでよし! と思った瞬間、ドシャッと落ちた。感覚的にはベッドから落ちたような感じで、大した高さではなかったようだ。でも、浮遊感のせいで完全に体勢を崩していたため、わたしは全身を打った。フェルディナンドの鎧で。 「ぎゃうっ!?」 目を開けると、フェルディナンドの鎧しか見えなかった。どうやらわたしはフェルディナンドの上へ落下したらしい。 「いったぁ……」 「呑気なことを言っていないで、早く退きなさい!」 険しい声でそう言われ、勢いよく体勢をひっくり返される。おわ? と思っている間に上下が入れ替わり、フェルディナンドは素早く動いて立ち上がった。
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