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ブックマーク / ncode.syosetu.com (49)

  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その4

    「父上、何をおっしゃるのですか!?」 ざわりとその場がざわめき、フェルディナンドに注目が集まる。王族は跪くトラオクヴァールとフェルディナンドを見比べ、ダンケルフェルガーのアウブ夫はじっとフェルディナンドを注視している。 「トラオクヴァール様。そのお言葉は、王族全員が白の塔へ入ることになったとしても、という解釈でお間違いありませんか?」 トラオクヴァールの質問に答えるのではなく、静かに問うフェルディナンドの姿に血の気の引いた顔で立ち上がったのはアナスタージウスだった。 「父上、お止めください! 貴方はツェントです。女神の化身以外の者に跪くものではありません」 「ユルゲンシュミットを治めるツェントはグルトリスハイトを持つ者でなければならぬ、アナスタージウス」 「そのグルトリスハイトはメスティオノーラの化身となったローゼマインから授けられるのです、父上。私は父上にグルトリスハイトを得て、真のツ

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その4
    doramata2
    doramata2 2017/01/26
    ツェントついに決定かー。それにしても、ヒルデブラント王子空回りしすぎた挙句やり直しが完全に不可能になってしまうとは…
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その3

    フェルディナンドが焦った声を上げるのとほぼ同時に、自分の視界の端にいる者達が胸元を抑えて顔を歪め、あちらこちらから呻く声が聞こえ始める。目に映る光景は自分が威圧している時と同じだ。けれど、今、わたしは頭が真っ白になる程の怒りを感じているわけではない。怖いという感情が膨れ上がっただけだ。 「違……こんなつもりではなくて……」 自分の中で膨れ上がった恐怖という感情が他人を苦しめている現状を目の当たりにして、自分の中にある女神の御力に対する恐怖はいや増していく。 「感情を抑えなさい、ローゼマイン」 わたしに皆の様子を見せないように、皆を女神の御力から守るために、フェルディナンドがわたしの肩をつかむ。フェルディナンドもまた苦しげに眉を寄せ、脂汗を垂らしながら、真剣な目でわたしを見下ろしていた。あのフェルディナンドが表情を取り繕うことさえできていない。 「フェルディナンド様、離れてください。近い程、

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その3
    doramata2
    doramata2 2017/01/25
    あの約束、あのシーンを思い出すと…そのうえ記憶が繋がっていないなんて
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その2

    残念ながらわたしの交渉結果は大して喜ばれなかったようだ。「一冊……」と呆れたような小さな声が王族以外からも複数上がった。明らかに役に立たないと思われている。 ……普段からを読まないから、王族は古語のお勉強が進まなかったんだよ! ふんぬぅ! 「あの、ローゼマイン様。わたくし、質問があるのですけれどよろしいでしょうか?」 エグランティーヌがぴたりと頬に手を当てながら、わたしとフェルディナンドを見つめる。 「わたくしは以前にお二人とお話をした時、奉納舞の検証を大々的に行ってツェント候補が各地の領主候補生から次々と出た場合は騒乱の種になるというご意見をいただいたと記憶しています。……けれど、今のお二人は次代のツェントを王族以外から選ぶとおっしゃいました。騒乱の種になることについてはどのようにお考えなのでしょうか? 教えていただいてもよろしいかしら?」 騒乱が起こることを何よりも忌避したいエグラ

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その2
    doramata2
    doramata2 2017/01/24
    この流れダンケルフェルガーがツェントになるのが最善かなー?ハンネローレ様がなるという線もあるかも!?
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その1

    ふらふら出歩くなと言われていたわたしは、奉納舞の練習と王族への要求について書かれた内容の暗記をするくらいしかできなかった。部屋から出られる機会は多くない。アーレンスバッハの騎士達が事を摂りに来た時に労ったり、励ましたりする時と事の時くらいだ。 離宮に関する報告をするという建前で、事時にはフェルディナンドが寮へやって来る。そのため、城にいた時のように領主一族は堂ではなく、別室で事を摂り、情報交換の時間になっていた。 最初に堂へ行った時、わたしを間近で見た養母様とシャルロッテは気後れしたような顔を見せたけれど、養父様だけは「化けたな」と言った後、「どのようにして光っているのだ、これは?」と好奇心丸出しの顔で眺め始めた。養母様に嗜められていたけれど、女神の御力を前にしても変わらない姿にかなり安心した。 「君の許可と魔石で、先程離宮の転移陣を作動させた。伝令を遣わしてあるので、早ければ

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 顔色の悪い王族 その1
    doramata2
    doramata2 2017/01/21
    後編もまだ顔色を変えるのか(哀)
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 魔王の暗躍 付け足し

    「お疲れは取れましたか、姫様? そろそろ五の鐘が鳴る頃です。もう少しお休みしていても構わないと思われますが……」 リヒャルダの言葉に少し考える。まだ寝ていたいような気もするけれど、気分的には非常にすっきりしていた。下手に二度寝をするより、起きてしまった方が良いだろう。 「起きます。……フェルディナンド様は戻っていらっしゃるのですか?」 「昼はこちらで摂られて、アウブと色々な打ち合わせをしたり、方々へオルドナンツを送ったりしていらっしゃいました。今はアーレンスバッハの騎士達と離宮の方で休息を取っているはずです。姫様がアーレンスバッハのことを気にかける必要がないように、とのことでした」 わたしはアウブとして礎を染めておきながら、まだ貴族院の寮を使うためのブローチが作れていないので、アーレンスバッハの騎士達は寮に出入りできないのだ。ランツェナーヴェの館と繋がる離宮があってよかったけれど、良い思

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 魔王の暗躍 付け足し
    doramata2
    doramata2 2017/01/19
    怖さに拍車掛かってるわ(;´Д`)敵に回したらアカン人だ
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 魔王の暗躍

    コピペした転移陣を使って、わたしは国境門に到着した。国境門の内側はどこも大して変わらないので、魔法陣に描かれた大神の記号で判断するしかない。土の女神 ゲドゥルリーヒの記号があるので、間違いなくクラッセンブルクの国境門のようだ。 「ここに魔力を注げばいいだけだよね?……グルトリスハイト!」 わたしはメスティオノーラの書を出すと、壁際まで移動してベシッと国境門に押し付ける。エーレンフェスト、ダンケルフェルガー、アーレンスバッハの国境門でも同じことをしたので、魔力供給は簡単だ。 ……楽勝、楽勝。うふふん。 メスティオノーラの書を通し、国境門に向かって自分の魔力が流れていくのを感じていると、不意に転移陣が光った。魔力供給をしながら、わたしは思わず振り返る。 ……え? 何? この転移陣が使えるのは、メスティオノーラの書か図書館の地下書庫の奥にあるグルトリスハイトを持つ者だけだ。地下書庫に入れる王族が

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 魔王の暗躍
    doramata2
    doramata2 2017/01/18
    次の布石がどうなるか予想が難しいー
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - ツェントレース

    いきなりぶっ飛んだことを言ってくるフェルディナンドを見つめていると、フェルディナンドが「まだ戻っていないか」と忌々しそうに舌打ちした。 「戻っていないとはどういう意味ですか、フェルディナンド様?」 「ローゼマイン、君にとって大事な者の名を挙げよ。私に脅された時、君は誰を思い浮かべた? 君の体を得た女神が何をしたのか思い出せるか? 君は体を貸す前に何をしていた? これから何をせねばならぬかわかるか?」 「え? えーと……」 突然何を言い出すのかと反論する間も与えられず、矢継ぎ早に問われて頭が混乱する。混乱はしているまま、何とか思い出そうとしてみたけれど、記憶にうっすらと靄がかかっているように思い出せない。すぐに頭に思い浮かぶのは、先程までいた図書館で読んだの内容ばかりだ。 「わかりません。……でも、先程まで読んでいたの内容は明確に覚えているのですよ。神々に関するお話で、わたくし……」 「

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    doramata2
    doramata2 2017/01/14
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 女神の図書館

    きつく目を閉じた瞬間、平衡感覚がおかしくなった。体が傾いていて、妙な浮遊感に捕らわれる。直後、ぐいっと引き寄せられて「ぼんやりするな、馬鹿者」と小声の早口で叱られた。フェルディナンドの声だ。とりあえず、自分を捕まえている腕にしがみついておくことにした。 これでよし! と思った瞬間、ドシャッと落ちた。感覚的にはベッドから落ちたような感じで、大した高さではなかったようだ。でも、浮遊感のせいで完全に体勢を崩していたため、わたしは全身を打った。フェルディナンドの鎧で。 「ぎゃうっ!?」 目を開けると、フェルディナンドの鎧しか見えなかった。どうやらわたしはフェルディナンドの上へ落下したらしい。 「いったぁ……」 「呑気なことを言っていないで、早く退きなさい!」 険しい声でそう言われ、勢いよく体勢をひっくり返される。おわ? と思っている間に上下が入れ替わり、フェルディナンドは素早く動いて立ち上がった。

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 女神の図書館
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    doramata2 2017/01/13
  • 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 始まりの庭への道

    「フェルディナンド様、どちらへいらっしゃるのですか!?」 特に説明もなく、というか詳細に説明できるはずもないので、フェルディナンドはそのまま空へ向かって駆け出した。独走するフェルディナンドの騎獣を追って、護衛騎士達やハイスヒッツェが大慌てで追いかけてくる。フェルディナンドは振り返って、彼等を止めた。 「危険だから白の建物よりも下で待機せよ! どうしてもと同行するならば、私より速く上空にいけ! 中途半端な位置にいると死ぬぞ」 そう怒鳴りながらもフェルディナンドは護衛騎士達を振り切って、高速でぐんぐんと上空へ駆けていく。ついて来ている者達がいるのかどうか、わたしには振り返る余裕もない。ただ落ちないように必死で手綱を握っていた。 上空へ向かう途中で一の鐘が鳴り始めた。カラーン、カラーンと図書館、中央棟、文官棟、騎士棟、側仕え棟、それぞれの寮から澄んだ鐘の音が、まだ日の差さない貴族院に鳴り響く。

    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ - 始まりの庭への道
    doramata2
    doramata2 2016/12/13