「父上、何をおっしゃるのですか!?」 ざわりとその場がざわめき、フェルディナンドに注目が集まる。王族は跪くトラオクヴァールとフェルディナンドを見比べ、ダンケルフェルガーのアウブ夫妻はじっとフェルディナンドを注視している。 「トラオクヴァール様。そのお言葉は、王族全員が白の塔へ入ることになったとしても、という解釈でお間違いありませんか?」 トラオクヴァールの質問に答えるのではなく、静かに問うフェルディナンドの姿に血の気の引いた顔で立ち上がったのはアナスタージウスだった。 「父上、お止めください! 貴方はツェントです。女神の化身以外の者に跪くものではありません」 「ユルゲンシュミットを治めるツェントはグルトリスハイトを持つ者でなければならぬ、アナスタージウス」 「そのグルトリスハイトはメスティオノーラの化身となったローゼマインから授けられるのです、父上。私は父上にグルトリスハイトを得て、真のツ
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