ブックマーク / synodos.jp (50)

  • 「許す」と「赦す」 ―― 「シャルリー・エブド」誌が示す文化翻訳の問題/関口涼子 - SYNODOS

    「シャルリー・エブド」誌襲撃事件の後、フランスと日のメディアによる報道を追っていて、この事件への反応や解釈が両国でまったく異なっていることに気がついた。 大まかに言えば、フランスの場合は、「シャルリー・エブド」の編集方針に賛成でない人、あるいは同誌を読んだことがない人でもほぼ全員が、同誌への抗議の手段として殺人という最大の暴力が行使されたことに激しく怒りを覚えたのに対し、日の場合には、「テロは良くないが」というただし書き付きで、「でも表現の自由と騒ぐのは西欧中心主義ではないか。表現の自由にも、他者の尊厳という制限が設けられるべきでは」と表明することが少なからず存在した。 ここではその点については触れない。それとは別に、取り急ぎ指摘するべき問題が一つあるからだ。 1月13日付読売新聞の夕刊、国際欄に出ていた記事のことだ。今日14日水曜日、襲撃事件後初めて発行される「シャルリー・エブド」最

    「許す」と「赦す」 ―― 「シャルリー・エブド」誌が示す文化翻訳の問題/関口涼子 - SYNODOS
  • 最高裁判事の国民審査では何を判断すべきなのか?/木村草太 - SYNODOS

    衆議院議員選挙と同時に、最高裁判所の国民審査が行われます。 「最高裁判所の国民審査」といわれても、なんだか難しくてつまらなそうです。この原稿も、タイトルだけでやめてしまう方も多いのではないかと危惧しております。この行までたどり着いていただいたことをうれしく思います。 ということで、最高裁判所の国民審査についてお話しましょう。 日国憲法には、次のような規定があります。 【日国憲法第79条2項】 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。 つまり、国民の意思によって、最高裁判所判事がやめさせられる可能性がある、ということです。日国内では、任命された公務員を国民投票や住民投票で解職する制度はほとんどありません。他に解職制度があるのは、住民によって直接選

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  • なぜリフレ派は消費増税に反対なのか?/矢野浩一 - SYNODOS

    稿では「なぜリフレ派は消費増税に反対なのか?」に焦点を絞り、その主張の裏にある理論モデルをご説明したい。 筆者からの注釈:この小文は【この節の要約】だけを読んでも概要が理解できるように書かれているため、忙しい方はそこだけでも読んでいただければ幸いです。 【この節の要約】衆議院総選挙で「具体的なマクロ経済政策実施の可否」が問われるのは、2012年12月実施の第46回に続き、今回(第47回衆議院総選挙)で2度目である。 カール・マルクスは著書「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」冒頭にこう書いている。 ヘーゲルはどこかで述べている。すべての世界史的な大事件や大人物はいわば二度あらわれるものだ。一度目は悲劇として、二度目は茶番として[*1]。 [*1] この引用の翻訳は岩波文庫『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』に基づくが、稿向けに筆者が少し文章を手直ししている。 2012年12月に実

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  • 「いいとこ取り野党」がなぜ現れないのか/『日本経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー - SYNODOS

    ―― 再増税反対を唱える野党も、財源のプランを明確にできれば勝負はできると思うのですが。 そうですね。消費税への傾斜を今回の選挙でひっくり返すのは難しいのかも知れませんが、野党はそこに力を入れてほしいですね。 安倍首相が解散権を口にしたとたんに、民主党も含めてみんなが雪崩を打つように増税延期に傾いてしまった。争点が消失してしまったわけですね。「大義なき解散」という人は、争点のなさを問題にしているわけです。 しかし、私は消費税の延期にみんなが賛成したとは思っていません。首相の会見でも、延期はしても社会保障と税の一体改革の流れは堅持すると明言されていました。つまりこの道は、いずれにしても消費税は上がるという道なんです。仮にリーマン・ショック級のショックがあったとしても、どこかの時点で10%までは確実に上がる、これは動かしがたい現実です。 この現実を打破するような政党が現れるかどうかが一つのポイ

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  • リベラルで経済も重視したい有権者は一体どうしたらいい?/『日本経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー - SYNODOS

    リベラルで経済も重視したい有権者は一体どうしたらいい? 『日経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー 情報 #アベノミクス#新刊インタビュー#日経済はなぜ浮上しないのか ―― 将来見通しから、目前の解散総選挙に視点を移したときに、リベラルでかつ経済のことも真摯に考えたい人は、まさにジレンマそのものの状況だと思います。端的に、安倍首相という人が嫌いとだいう方は少なくないと思います。 安倍政権に嫌悪感を持つ方は、人の痛みを考えられる、優しい方が多いのだろうと思います。いわゆるリベラル層ですよね。 もともと「景気を良くしよう」という主張は、リベラル層が言うべきことであったはずです。よく言われることですが、欧米諸国では金融緩和はリベラル政党の主張であり、武器です。富裕な保守層ほど金融政策や景気対策には冷淡な傾向があります。ところが日では保守とみなされる勢力が、金融政策を武器に政

    リベラルで経済も重視したい有権者は一体どうしたらいい?/『日本経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー - SYNODOS
    doraneko_tom
    doraneko_tom 2014/12/07
    立候補すればよかったんじゃないかな
  • 絵本の読み聞かせが、子供の学力を伸ばす――全国学力・学習状況調査からの示唆/荒木啓史 - SYNODOS

    の読み聞かせが、子供の学力を伸ばす――全国学力・学習状況調査からの示唆 荒木啓史 教育社会学・比較教育教育 #絵#読み聞かせ 子供の学力は、家庭の経済水準や保護者の学歴と密接に結びついている。昨今、そうした見解を様々なメディアで目にすることが多くなったが、果たして当なのだろうか。また、仮に当であるとしたら、どうすれば家庭の経済水準等にかかわらず、子供の学力を高めることができるのだろうか。 三菱総合研究所が文部科学省より委託を受けて実施した分析結果を見ると、確かに家庭の社会的・経済的な要素が子供の学力に影響を与えていることが明らかとなった。一方で、家庭環境にかかわらず、子供が小さいころに絵の読み聞かせをすることにより、子供の学力が高まる可能性が示唆されている。そのエビデンスと、今後に向けた若干の示唆を紹介していきたい。 文部科学省は平成19年度から、全国の児童生徒の学力・学習

    絵本の読み聞かせが、子供の学力を伸ばす――全国学力・学習状況調査からの示唆/荒木啓史 - SYNODOS
  • タイでクーデタが繰り返される理由――タイ民主化の未来は暗いのか?/外山文子 - SYNODOS

    2014年5月22日、タイで再びクーデタが起きた。絶対王政を倒した1932年立憲革命以来、13度目のクーデタ、21世紀に入ってからは2度目のクーデタとなった[1]。 クーデタはタイの風物詩のように捉えられているむきもあるが、1990年代には、もはやクーデタは起こらないだろうと思われていた。今回も、インラック首相とプラユット陸軍総司令官の関係が良好である、国際的な影響に配慮するだろう等々の理由から、クーデタは起こらないだろうと言われていた。 ところが、クーデタは起こった。なぜ21世紀に入ってからも、タイでクーデタが起き続けているのか。稿では、その理由について、より長期的な視点から解説を試み、1990年代以降に新たに制定された2つの憲法こそが21世紀に入ってから起こった2度のクーデタを引き起こしたこと、今回クーデタの目的が情報統制それ自体であり、その背後には王位継承に対する懸念が関係している

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  • リーマンショック世代・ロスジェネ世代に希望はあるのか/近藤絢子 - SYNODOS

    最近、人手不足のニュースを耳にすることが多くなった。求人数と求職者数の比率を示す有効求人倍率も上昇を続けており、完全失業率も3%台半ばにまで下がってきている。リクルートやマイナビの調査[*1][*2]によれば、来春卒業予定の大学生の7月時点の就職内定率も、 前年同月比で約6%上昇しているという。 しかし、思い出してほしい。5年前、リーマンショック直後の2009年には、完全失業率は5%を超え、「派遣切り」「ワーキングプア」といった言葉がメディアを賑わせていた。この就職超氷河期を経験した、2010年ないし2011年春に卒業した人たちは、今の景気回復の恩恵を受けることができているのだろうか。 過去の日においては学校を卒業するタイミングで不況を経験した世代は、その後何年にもわたって、ほかの世代に比べて雇用が不安定で年収も低かったことが知られている。日の労働経済学者たちはこれを「世代効果」と呼び

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  • スコットランドで何が起こっているのか――民族とアイデンティティを超えた独立運動/久保山尚 - SYNODOS

    スコットランドで何が起こっているのか――民族とアイデンティティを超えた独立運動 久保山尚 スコットランド史、スコットランド政策研究 国際 #スコットランド#独立運動 イギリス[*1]北方のスコットランドは、UKからの独立を問う住民投票を間近に控えている。 2012年にUK・スコットランド両政府間で住民投票開催が合意され、独立賛成派と反対派がキャンペーンを繰り広げてきた。独立賛成・反対への支持は、2013年末~2014年初頭に若干賛成派が伸びを見せたものの、一貫して賛成3割強、反対5割弱程度で推移し、スコットランドはUK内にとどまるものと思われてきた。 しかし8月に入り、独立への支持が急速に伸び始め、最新の世論調査では賛成派が過半数を超える[*2]など、状況は刻一刻と変化している。スコットランドの独立が俄かに現実味を帯びてきているのだ。 いったい何が起こっているのか。何がスコットランド人を独

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  • 襲撃されるホームレス――聞き取り調査からみえてきた襲撃の実態/大西連 - SYNODOS

    日午前11時半、都内のホームレス支援団体・生活困窮者支援団体等による「野宿者への襲撃に関する調査」の発表と、都庁への申し入れに関する記者会見が行われた。調査によると、都内に住む野宿者の40%が過去に何らかの形で襲撃を受けたことがあり、また襲撃は夏場に、特に子どもたちがグループで行われることが多いらしい。調査からみえてきた野宿者襲撃の実態とは? 記者会見の様子を書き起こした。(構成/金子昂) 稲葉 野宿者への襲撃に関する調査の発表と都庁への申し入れに関する記者会見をはじめたいと思います。司会を務めさせていただきますNPO法人の自立生活サポートセンターもやいの稲葉剛と申します。 日は、もやい理事長の大西連が都内で行われた野宿者への襲撃に関する調査の結果概要について発表をし、その後、調査に携わった方にお話をしていただきます。そして後半には、野宿当事者の方に体験談をお聞きしたいと思っています。

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  • 男女雇用機会均等法では「共働き」を実現できない/筒井淳也 - SYNODOS

    先日(2014年7月1日)、男女雇用機会均等法の施行規則が改正された。男女雇用機会均等法は、1986年の施行から、1999年、2007年の比較的大きな改正法施行を経て、ふたたび改正された。大まかな流れは以下のとおりである。 1986年施行: – 採用、昇進における男女差別の撤廃を努力義務に。 – 教育訓練、福利厚生、定年・解雇における男女差別を禁止。 1999年改正法施行: – 採用、昇進における男女差別の撤廃を努力義務から禁止に。 2007年改正法施行: – 間接差別の禁止。これにより「合理的な理由なく総合職の募集において転勤を要件とすること、転勤経験を昇進の要件とすること」が禁止された。 2014年改正法施行: – 間接差別の禁止の範囲拡大。「すべての労働者の採用、昇進、配転などにおいて合理的な理由なく転勤を要件とすること」が禁止された。 男女の機会均等について識者の間でもしばしば注目

    男女雇用機会均等法では「共働き」を実現できない/筒井淳也 - SYNODOS
  • 和解だけが救いの形ではない――『聲の形』作者・大今良時氏の目指すもの/大今良時×荻上チキ - SYNODOS

    現在、『週刊少年マガジン』で連載中の漫画『聲の形』は、読み切りとして2011年の『別冊少年マガジン』に初めて掲載された際に、小学校を舞台に、いじめを受ける聴覚障害者のヒロインをけなげに描くことに対する批判も含め、読者から様々な反応が生まれた作品だ。「なにがそんなにヤバいのかまだよくわからない」と語る作者・大今良時氏。大今氏は『聲の形』で何を描こうとしているのか、学校生活をどのように過ごしていたのか、荻上チキがインタビューを行った。(構成/金子昂) 荻上 お会いできてうれしいです。『聲の形』は様々な読み方ができる優れた作品で、楽しんで読んでいます。特に、いじめの構造を端的に抉り出しているな、と思いました。多くのいじめ描写は、いじめっ子をわかりやすい悪者として描くことが多いんですが、いじめっこ/いじめられっ子というのは固定的なものでもないし、教室内の秩序の在り方によって、流動的に発生してしまう

    和解だけが救いの形ではない――『聲の形』作者・大今良時氏の目指すもの/大今良時×荻上チキ - SYNODOS
  • 女性の就労を阻害する「壁」をどのように崩すか――配偶者控除廃止の検証 / 筒井淳也 / 計量社会学 | SYNODOS -シノドス-

    配偶者控除制度を巡っては、2012年度の衆院選において民主党がマニフェストにその廃止を明記していた。配偶者控除を廃止することで得られる追加的財源を児童手当に回すという、従来の民主党の政策にかなったものであった。 一方、戦後一貫して「夫が稼いでがそれを支える」という「男性稼ぎ手モデル」を尊重してきた自民党は、2013年の参院選においても配偶者控除の維持をマニフェストに掲げており、その路線はある程度継続する可能性もあった。 しかしこの流れは変わり始める。内閣府のもとに設置されていた「経済社会構造に関する有識者会議」は、2013年の6月に第10回の会議を開催し、そこでは「成長のための人的資源活用検討専門チーム」が同年4月にまとめた報告書が資料として提出された。そのなかには、経済成長を牽引するためには人的資源の形成が必要であり、そのためには「配偶者控除などによって、就業が不利にならないようにする

    女性の就労を阻害する「壁」をどのように崩すか――配偶者控除廃止の検証 / 筒井淳也 / 計量社会学 | SYNODOS -シノドス-
  • 大学における退学・ひきこもり・不登校/井出草平 - SYNODOS

    近年、大学の退学・中退に大学関係者の注目が集まっている。18歳人口の半数が大学に進学し、大学進学を望めば進学できる。いわゆる全入時代となった。現在では大学、高等教育に求められること変化しつつある。 大学進学の動機として大きいのは、就職での有利さ、将来の収入への期待である。その場合、大学に入学するだけでなく、卒業しなければ意味がない。 しかし、実際のところおよそ1割の学生は中途退学をする。この1割という数字や各大学・学科の退学率は近年になって明らかになってきたものだ。文部科学省の統計である『学校基調査』では大学の退学者数を集計していない。また、私立大学の退学率は公表する義務もなく、明らかにすることによって学生や親にネガティブな印象を与えることを嫌って公表してこなかった。 現在でも、不明である大学や、曖昧なデータを提示している大学は多い。一方で、退学予防に取り組んでいる大学は、退学率をはじめ

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  • 中国の所得格差はどうなっているのか?/梶谷懐 - SYNODOS

    近年の中国におけるさまざまな経済格差の拡大は、中国社会を語る際の「定番ネタ」の一つとなっている。 かつては世界でももっとも格差の少なかった社会から、アジアで最大クラスの不平等な社会へと急速な変化をとげた「格差大国」の現状に関心が集まるのは、ある意味で当然の成り行きであろう。ただし、最近になって格差の代表的な指標であるジニ係数について異なる数値がいくつか発表され、その信憑性をめぐって議論が交わされるなど、その実態についてはまだまだ分りにくい点が多いのではないだろうか。 農村-都市間の経済格差を始め、さまざまな経済・所得格差の問題は改革開放期を通じて、いや、毛沢東時代の中国にも常に存在していた。しかし、それまでには考えられなかったような目に見える所得格差が、都市住民内部の間でも生じてきたのは、1990年代後半以降の、比較的新しい現象だと言える。そのことを端的に示すのが個人所得の不平等を示すジニ

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  • 経常収支黒字減少のなにが問題なのか?/安達誠司 - SYNODOS

    最近、日経済の先行きについての1つの懸念材料として、経常収支黒字の減少、もしくは貿易収支赤字の拡大という問題が脚光を浴びている。そして、その背景にあるのが「日企業の競争力低下」である。 まず確認をしておきたいのだが、日の経常収支が減少し始めたのはここ数か月ではない。それにも関わらず、経常収支がクローズアップされているのは、今年にはいって日の株式市場のパフォーマンスは冴えないためであると考えられる。これには、昨年の株価の上昇が「アベノミクス」成功の象徴であった丁度裏返しで、今年に入ってからの株価の不調が「アベノミクス」失敗の予兆として取り上げられる頻度が高まっているという事情がある。 日の代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)は、2月28日時点で1211.66ポイントだが、これは昨年12月30日の大納会の1302.29ポイントから約7%の下落である。この株価指数の下げの一

    経常収支黒字減少のなにが問題なのか?/安達誠司 - SYNODOS
  • グローバルヘルスが日本を強くする――日本人の多くがまだ気がついていない国家戦略/渋谷健司 - SYNODOS

    グローバルヘルスを国家成長・国家安全保障戦略の中心に 保健医療は、各国の歴史や社会経済状態、法制度に密接に関わる極めてローカルなものである。しかし、あらゆるセクターがグローバル化する中で、保健医療もそれと無関係ではいられなくなっている。つまり、パンデミック・インフルエンザ等の病気だけではなく、医師も患者も国境を超えて移動する時代になった。 保健医療のグローバル化は世界の潮流だ。 Koplanら[*1]によると、「グローバルヘルス」とは、医療に国境がなくなったグローバル化の一つの形態で、従来のように先進国が発展途上国を援助するのではなく、両者に共通する地球規模の保健医療の課題を、さまざまなセクターが一緒に解決していく分野だ。 それは、極めて学際的で、イノベーションを重視し、社会医学に限らず、基礎研究、臨床医学、そして、薬や機器の供給も含まれる。パンデミックなどの感染症、生活習慣病の蔓延、高齢

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  • 初学者のためのロケット開発史入門/青木宏 - SYNODOS

    この2月にも、降水観測衛星GPMを搭載して、我が国の主力ロケットH-IIA23号機が打ち上げられます。ところで、これらH系ロケットは、水を噴射して飛んでいる、質的にペットボトル水ロケットと同格と言ったら意外でしょうか? 実は世界中の高性能打ち上げロケットの多くが、日と同様に「水=水蒸気」を使って飛んでいます。しかも、水蒸気エンジンが実現して初めて人類が月面に到達できる可能性が生まれた、とさえ言えるのです。その必然性を理解するには、宇宙で推進力を獲得する基に立ち戻らねばなりません。 そこで稿では、学部生レベルを想定した「ロケット工学入門」を記したいと思います。少々、理解に時間のかかる部分もあるかもしれませんが、稿をお読みいただき、ロケット打ち上げの背景にある、ロケットの仕組みと心血注いだ開発の努力を伝えられたらと思います。 さて、足掛かりのない宇宙空間で増減速など機動(manuev

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  • 「大正デモクラシー」はどうして戦争を止められなかったのか/成田龍一氏インタビュー - SYNODOS

    社会運動、政党政治、普通選挙――民主主義的な言論や運動が活発に行われた「大正デモクラシー」。しかし、その後日戦争の時代へと突入してしまう。なぜ大正デモクラシーは戦争を止められなかったのか。歴史学者の成田龍一氏に話を伺った。電子マガジンα-Synodos vol.142より、一部を転載。(聞き手・構成/山菜々子) 「大正デモクラシー」とはなにか ―― 今回は、「大正デモクラシーはどうして戦争を止められなかったのか」というテーマでお話を伺えればとおもいます。まずは、「大正デモクラシー」はどのようなものだったのでしょうか。 まず、「大正デモクラシー」という言葉についてですが、これは同時代に使用された言葉でもなければ、歴史用語として定着しているわけではありません。論者によって「大正デモクラシー」といったときの時期や内容や評価が様々です。「大正」という元号と、「デモクラシー」というカタカナとが

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  • 地球で生きる宇宙飛行士――『宇宙兄弟』はなぜALSを描いたのか?/川口有美子×佐渡島庸平 - SYNODOS

    大人気漫画『宇宙兄弟』(現在22巻まで刊行。3月21日23巻発売予定)では、ふたりの登場人物がALS(筋萎縮性側索硬化症)として描かれている。筋肉が委縮し、呼吸器なしでは生きられなくなり、いずれは身体が動かなくなるALS。そんな難病をなぜ『宇宙兄弟』は取り上げたのか。『宇宙兄弟』(講談社)の編集担当の佐渡島庸平氏と、ALSを罹患した母親について書いた『逝かない身体』(医学書院)の川口有美子氏が、宇宙兄弟について、ALSについて語り合った。(構成/金子昂) 川口 対談が決まってから、今日をずっと楽しみにしていました。佐渡島さんにお聞きしたいことがいっぱいあります。 佐渡島 こちらこそよろしくお願いします。 宇宙兄弟は、幼少時代にともに宇宙飛行士になることを約束した兄弟の話です。先に弟が夢をかなえ、兄は後から追いかけます。宇宙と家族がテーマなのですが、ALSも作品で重要な要素です。 川口 そう

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