ブックマーク / cruel.hatenablog.com (8)

  • 反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はじめに 反知性主義をめぐるを3冊読んだので、その話をちょっと書こう。なぜそんなものを読もうと思ったかというと、『現代思想』の「反知性主義特集」に対するアマゾンのレビューがぼくのツイッターでちょっと話題になっていたからだ。 「彼らは反知性主義だ」と規定する知性は知性主義的なのか? ぼくはこの特集を読んでいないし、読むつもりもない。が、このレビューの主張はよくわかると同時に、この特集のスタンスについて疑問が湧いてきた。 というのも、このレビューを信じるなら、この特集での「反知性主義」というのは、「自分とちがう考え」のことらしく(たとえば原発推進とか安部政権評価とか)、そしてそれを「反知性主義」と呼ぶのは、要するに「バーカ」というのをご立派に言い換えているだけらしいからだ。 さて、まずぼくはこの手の言い換えが嫌いだ。ぼくはしばしば、バカをバカとはっきり言うので、性格が悪いとか下品とか言われる

    反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • エンゲルス「イギリスの労働階級」終わった! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ちょっと気が向いて、若き日のエンゲルスのルポを訳しはじめたのが1年ほど前だったけど、ぼちぼちやってるうちに終わりました。 エンゲルス自身が若書きだと言っているので、若々しくしてみた。産業革命の成果にものすごく興奮しつつ、一方で労働者のひどい状況を実地に見て当に怒っているのがよくわかる、たいへんにおもしろい文章。エンゲルスは理論家としてはアレながらイデオローグとして優秀だったらしいけれど、ルポライターとしてもお見事、というのは訳し終わってもやはり思うね。 イギリスにおける労働階級の状態 (pdf 682kb) e-pub版はこちらできちんとしたものを作ってくれました〜 densabi.hatenablog.com 産業革命の成果に対する興奮は伝わってくるし、また当時のスラムの惨状は匂ってくるような迫真の描写。すごい。これを読んで「いまの日も同じだ、労働者は虐げられている!」といった感想を

    エンゲルス「イギリスの労働階級」終わった! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 田嶋『高学歴貧困女子が読み解くピケティ』:意外や意外、ベスト級の解説書。色物に非ず! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    学歴貧困女子が読み解くピケティ (SAKURA・MOOK 2) 出版社/メーカー: 笠倉出版社発売日: 2015/05/08メディア: ムックこの商品を含むブログ (2件) を見る 見た瞬間、まあろくでもない色物だと思うのは人情でしょう。高学歴貧困女子がこんな問題抱えているというのを、おちゃらけマンガをからめつつ、ピケティをいい加減につまみいしつつ書いて、『21世紀の資』とは何の関係もない代物になってるんだろうと思うじゃない? ついでに、この田嶋智太郎という著者監修者、アマゾンで見るとこれまでのは、見るからにお馬鹿のインチキ臭漂う、FXで儲ける方法とかのお手軽投機ばっか。書がまともなものになっているとは、とうてい思えませんがな。 その見方を裏付けるのが、なんだかいきなりついているアマゾンの読者レビュー。他の解説書は『21世紀の資』に縛られているが、これはそうじゃないって言われ

    田嶋『高学歴貧困女子が読み解くピケティ』:意外や意外、ベスト級の解説書。色物に非ず! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティがらみの話で、そろそろデータを見た人が反論を始めている。そして、日の状況はちがう、日はまれに見る平等社会、日は格差が開いていないどころかかえって狭まっている、よってピケティなんかダメ、という議論をしている。 さて、ピケティを盲信して格差、格差、この世の終わりだ資主義の宿痾だ革命だマルクス様の復活だついでにアベノミクス許さんとさわぐのはたいへん愚かで恥ずかしいことなので、やめていただきたいところ。金持ち儲かるんだろ、知ってたぜ、常識だフン、どうせオレたち貧乏人はいくら頑張ってもダメなのよ、ついでにアベノミクス許さん、とかいった間抜けな発言は、ツイッターくらいにとどめておいてほしい。 その意味

    ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
  • 高齢時の知能も子供の頃にかなり決まっちゃうんだって。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    貯まっていた Science をいっしょうけんめい消化しているんだけれど、そこで見たおもしろい記事。老化特集なんだけれど、そこで子供時代のIQと高齢になってからのIQを調べた研究についての話が出ている。 Emily Underwoood, "Starting Young" (Science 31, 2014/10) スコットランドで、11歳のときのIQとその50年後のIQを追跡調査で千数百人について追跡したんだって。そしてそれで得られた知見は……だいたい見当つくでしょ。11歳のときに高IQだと、高齢になってからも高IQだということ。50%くらいの説明力があるそうな。だいたい子供の頃にかなり決まっちゃうんだねー。幼児教育や児童教育はケチらずがんばろうぜー。それは高齢化対策にもなるんだから。 この研究で他におもしろかったこと。 ワイン飲んでも知能改善になるかどうかわからんらしい。 一日にワイン

    高齢時の知能も子供の頃にかなり決まっちゃうんだって。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • チャルディーニ『影響力の武器』/『影響力の正体』:同じ本なんですがなぜ?(付記:ちがう本だそうです。追記参照) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか 作者: ロバート・B・チャルディーニ,社会行動研究会出版社/メーカー: 誠信書房発売日: 2007/09/14メディア: 単行購入: 111人 クリック: 1,196回この商品を含むブログ (217件) を見る影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく 作者: ロバート・B・チャルディーニ,Robert B. Cialdini Ph.D,岩田佳代子出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2013/12/14メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る こないだ屋で、チャルディーニの新刊『影響力の正体』がソフトバンクから出ているのを見て、あれ、新しいなんてあったっけ、と思って眺めていたんだけれど…… なんか立ち読みで目次を見ても見覚えあるし、中身も見たことある話ばかり。でも『影響力の武器』を読んだのはしばらく前なの

    チャルディーニ『影響力の武器』/『影響力の正体』:同じ本なんですがなぜ?(付記:ちがう本だそうです。追記参照) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • イーガン『しあわせの理由』:坂村健の解説にびっくり - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF) 作者:グレッグ イーガン早川書房Amazon イーガンは、順列都市もディアスポラもたいへん気に入って、たぶん高校か大学時代なら全作品を読みあさったところだろうけど、いまはそうならないのは、ぼくがすれっからしの読者になってしまったせいなんだろう。 だから書『しあわせの理由』も、刊行から十年以上たった今になってやっと読んだ始末。買ってはあったんだけどね。 このは(いやイーガンはすべてそうだが)、脳移植や、死や不幸に対するラッダイト的あこがれ、化学的感情コントロール、コンピュータ内の意識のありかた等々、テクノロジーと人間性との関わりをテーマにした中短編集で、どれもおもしろいんだけれど、やっぱりこの歳になると、どのテーマもまったく予想外というのはない。もちろんワームホールランナーとか、量子サッカーとか、一夫一婦制を強制するウィルスの概念設計とか、意外な仕掛

    イーガン『しあわせの理由』:坂村健の解説にびっくり - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ニコニコ学会ベータでの失望 (12/21) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ニコニコ学会ベータというのがあって、いろいろ学問チックなことをニコニコ動画的な形でみんなでつっこみ入れながら紹介したり討議したりしましょうという代物。それの第五回シンポジウムがあって、お呼ばれしたのででかけてまいりました。お呼ばれといっても、の分はちゃんと払ったので無料ではなかったんだけど。 http://niconicogakkai.jp/nng5/ さてぼくはこの日の朝にミャンマーから帰ってきたばかりなので、体力的に少しきつかったのではあるけれど、ちょっとはおもしろい話もきけるかと思って六木まで出かけたわけです。ニコファーレは、入り口がわからなくて大変苦労して、結局通用口から入ることになりましたよ。 前半は渋谷慶一郎インタビュー:でもみんな賢しらな顔をしたいだけね 一応お目当ては最初にあった、堀江貴文ことホリエモンが出るという座談会。着いてみると、すでに座談会は始まっていたんだけれ

    ニコニコ学会ベータでの失望 (12/21) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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