現代に生きる哲学者は、どんな生活をしているのだろうか。本書は大学で働く傍ら、哲学の雑誌を発行する著者が、大御所から若手まで哲学徒をたずねたインタビュー集だ。 注目すべきは思想内容のみならず、彼らの生き方にある。環境倫理学者・鬼頭秀一氏は大学院博士課程まで薬学を学んだ後、科学哲学に専攻を変えた。40歳を過ぎて世界遺産・白神山地にて聞き取り調査に関わったことを機に「現場の声」から倫理学を立ち上げる、新たな試みに関わる。漫画家・前邑恭之介氏は幼少時代に交通事故を経験。大学卒業後就職するが、身体が一部変わっても「私が私である理由は何なのか」を追求し、作品制作を続ける。何かにつまずいた時、哲学的な問いと出会うチャンスはどこにでもある。その機会の生かし方は自由だと教えてくれる。 ※週刊朝日 2016年5月6日―13日合併号
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