人気の心理カウンセラーによる、てきとうに生きることを勧めるメッセージ本。 格言は、ときに心の枷になる。自身の幸せよりも、苦労することが目的になっていないだろうか。著者は、他人に甘えて全てをまかせようと提言する。木村秋則の『奇跡のリンゴ』では、それまで木の生育に必要と思われていた草取りなどの手間の全てを排除し、無農薬無肥料の林檎を実らせた。それと同じように、部下など他人を成長させるには、手をかけない「放牧」が良いのだという。そして自身は小さくまとまらず、我慢をやめて原生林のように生きよう、と。 あえて手を抜いてみるとたくさんのことが楽になり、初めて世間の人のやさしさに気づくことができるという。添えられた写真にも心がなごみ、ほっと息をつくことができる。 ※週刊朝日 2016年5月6日―13日合併号