※イメージこの記事の写真をすべて見る 詩人、エッセイストの佐々木桂さんが、日本津々浦々に残る田園風景とその米を紹介する本誌連載「美し国、旨し米」。今回は岡山に残る伝統米「朝日」を取り上げる。 * * * 今おいしいとされているお米のほとんどが、かつて東西の雄であった「亀の尾」と「朝日」の血統だと以前書いた。その西の雄である朝日は、今も食すことができる。少量ながら、朝日の故郷ともいえる岡山県で、今も栽培されているのだ。 温暖で清水の豊富な岡山は、実は米どころ。お米というと北のイメージが強いが、そもそも稲は暖かい地方の植物だ。稲のルーツと言われる中国でも、昔の稲作は揚子江より南。日本も戦前までは、冷害の多い北日本より、二期作や二毛作ができる西日本のほうが米どころだった。戦後、北日本を中心に、寒さに強いお米を作るべく品種改良が重ねられ、北国でも育てられるお米ができたのである。 朝日は、人工交