かきつばたになった少女14 山彦も毎日霧が峰へ行き、かきつばたをさがしました。 でも、かきつばたをみつけることはできませんでした。 かきつばたはどこへ消えてしまったのでしょうか。 一年後。 山彦が、八島の湿原へ行ってみると、沼のほとりにみた ことのない紫色の花が咲いていました。花が咲いている 場所は、初めてかきつばたに出会った場所でした。 「かきつばたさんが、紫色の花になったのかな?」 山彦は、ふとそう思いました。 すると・・・。 「山彦さん、こんにちは。ひさしぶりね。私、この紫の 花に生まれ変わったの。山彦さん、この花は何という花 か知っている?かきつばたというのよ。きれいな花でし ょ。山彦さん、毎年この花が咲く頃、ここで会いましょ うね」 どこからか、かきつばたのやさしい声が聞こえてきました。 つづく 「かきつばたになった少女」は、みほようこの四 冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収