登山者自身へのリスクと山への影響によるリスク 気象遭難は、大きく分けてふたつのリスクが原因となっています。ひとつは、気象が登山者自身にダメージをもたらす気象遭難です。雨で身体が濡れることによる低体温症や、熱中症、突風による転滑落、落雷による感電といった事例が挙げられます。 もうひとつは、気象が山に影響を与えて登山者にダメージをもたらす遭難です。沢の増水・鉄砲水による水難や、土砂崩れや落石に巻き込まれる事例が挙げられます。 今回は落雷と沢の増水・鉄砲水による水難の各事例について、実例や遭難防止のための対策を紹介していきます。 落雷による感電事故 雲が“やる気を出す”と、雷のリスクがある テレビなどで、お天気キャスターの「大気が不安定な状態」という言葉を聞いたことはありませんか。これは、上空に寒気が流れ込む状態を指します。地表の気温が高い夏では、この状態では上空との気温差が大きくなるのです。
