東京都府中市にある社会福祉法人の男性元副理事長が、知的障害のある利用者に約10年間、虐待を繰り返していた。この法人の第三者委員会がまとめた調査報告書を共同通信が入手し、判明した。これまで行政には合計で十数回、内部告発や通報があったが、府中市は約7年もの間、虐待を認定しなかった。しかも、元副理事長は市職員OBだった。 利用者の中には、この法人がそんな状態であると知らず、虐待を受けて心に深い傷を負った人もいる。報告書によると、元副理事長は恐怖で職員を支配し、「無法地帯」のような状態になっていた。一体、何が起きていたのか。(共同通信=市川亨) ▽息子の異変に気付いた親「何かおかしい」 問題の社会福祉法人は「清陽会」。府中市で知的障害者の作業所2カ所(定員各30人)やグループホームなどを運営している。元々は、知的障害者の親の会が母体となって1989年に設立された法人だ。 「何かおかしい」。知的障害