気が遠くなりそうなほどの焦燥感に身を焼かれながら、やっとの思いで時刻が2時30分を回ったころ、町内放送用のスピーカーがガリガリと音を立てるのが窓の外から聞こえた。『…東港地区のみなさんにお知らせします…本日午後3時、町営保養所前の特設会場にて映画「昆布少女」ロケ隊の歓迎イベントを開催いたしますので、みなさんの参加をお願いいたします。繰り返します…』 昆布先生が旧小学校の保養所へと駆けつけたときには、すでにグラウンド跡の広場は驚くほどの人の群れで埋め尽くされていた。これほどの人数が東港地区に集まるのはおそらくこの町史上初のことであろう。どうやら道東一円から噂を聞きつけた見物客が大挙して押し寄せたらしく、海岸の道路には他市のナンバープレートをつけた違法駐車の車両が列を成していた。赤色灯を回したパトカーがさかんに車両の移動を呼びかけているが、あまり効果はないように見える。もっとも日本を代表するス
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