<韓国と違い、中国への商業的配慮と不十分な「過去の清算と和解」が足かせに> 台湾と韓国はどちらも30年前に独裁体制から民主主義に移行した「アジアの虎」だ。両者には共通点も多いが、決定的に異なる分野が1つある。制作する映画やテレビ番組のジャンルだ。韓国では政治をテーマにした大作映画が定期的に公開されるが、台湾ではほとんどない。 韓国の17年の興行収入トップは『タクシー運転手~約束は海を越えて~』。光州事件の取材に来たドイツ人ジャーナリストを乗せたタクシー運転手の実話に基づく作品だ。全斗煥(チョン・ドゥファン)将軍の軍事独裁に抗議する市民数百人を韓国軍が殺害した光州事件は、80年5月18日に起きたので「5.18」とも呼ばれる。 『タクシー運転手』が台湾で公開されると、地元メディアは「韓国版2.28」と呼んだ。2.28とは、47年に中国国民党軍が同党の支配に反発する本省人(戦前からの台湾住民)最