今回お話を伺った音楽プロデューサーの武部聡志さんは、日本の音楽業界の第一線で30年にわたり活躍してこられた。「人生で挫折や悩み経験をしたことがない人の歌を聞きたいでしょうか。私は聞きたくないです」と武部さんは言う。 「弱さ」が「強さ」だということを知っている。それが「優しさ」につながる。弱さを守るのではなく、もっと積極的な意味で、弱さこそが強さ、魅力なのだと。そういうことを分かっている人が、本当に優しくなれる。 僕も、脳の研究をしていて、薄々感じていたことだけれど、今回もっとはっきり言葉にできた。 「プロデューサー」という仕事がどうして必要なのか、その理由がよく分かった。アーティストがひとりで作品を作るのと、プロデューサーが参加するのと何が違うのか。やはり、外からの目線がないと、自分の中のリアリティというものを、アーティスト本人も発見できないからだ。自分の内側にあるリアリティを発見するのは