第8回 あえてシンクタンク的手法を嗤う 金子勝 イラスト/ヤマザキマリ 『2050年のわたしから 本当にリアルな日本の未来』 「いまの世の中、『○○年に日本の財政はバランスする』とか「XX年に日本経済は何%の成長をしている』とか、たくさんのシミュレーションという『未来の予測』が出されます。多くの人々は、それを見せられると、『そうなるのかあ』と妙に納得してしまいます」(金子勝・ヤマザキマリ『2050年のわたしから』p.113) ところが、このシミュレーションは大きく外れるようになった、と金子は言う。 「たとえば、2004年の年金制度『改正』は、当面の年金財政を維持するために、政府は未来の予測をするシミュレーション結果を出しました。そこでは、保険料の引き上げと給付水準の切り下げを行うことが最も『現実的』に見えるように、もっともらしい数字が並んでいます。しかし、出生率、経済成長率、運用利回りなど