6,000円を超える価格、700ページに迫るボリューム、頻出する数式や化学反応式。この本の表面的な特徴だけに着目すれば、購入までのハードルは随分と高い。しかし、この本にはその価格以上の価値が間違いなくある。終盤まで読み進める頃には、「もっと読んでいたい」と思わずにはいられないストーリーがある。そして、この世界の成り立ちと仕組みを深いレベルで理解できる喜びがある。是非書店で本書を手に取り、第一章だけでも読んで欲しい。続きが気になって、その足はいつの間にかレジへと向かっているはずだ。 本書は、“Global Warming(地球温暖化)”という言葉を生み出した地球化学者ウォリー・ブロッカーによって1984年に出版された『How to Build a Habitable Planet』(邦題『なぜ地球は人が住める星になったか?』)の増補新版である。増補新版とはいっても、20年以上の月日で進歩した