外国の視点から日本を叩く、という近代史の初めからあったやり方の問題はまあ承知しているつもりだし、この本で「フランス社会についていささか美化」「フランスは天国ではありません。それどころか問題は山のようにあります」(本書p.106)とエクスキューズを入れているのを見てもわかるように、これを読んで「フランス万歳、日本死ね」とはならないし、なりたくない。 それでもやっぱり、とりあえず簡単に日本の現状を相対化してみる道具、日本では「当たり前」と思っていることが実は異常ではないかと考えるヒントとして、本書、都留民子『失業しても幸せでいられる国 フランスが教えてくれること』(日本機関紙出版センター、2010)は使えると思って読んだ。「首都圏青年ユニオンニュースレター」連載の蓑輪明子のエッセイで紹介されていたのだ。 しかし、そうした最初の印象を超えて、単なる日仏の事情比較・データ比較にとどまらず、大ざっぱ