明治憲法はその上愉で、国家統治の大権は天皇が祖宗から承けたものと述べて、天皇統治の正当性の根拠を神勅に求めている。 神勅とは、皇孫瓊瓊杵尊が葦原の中つ国に下るとき、三種の神器とともに天照大神が授けたと言われる言葉のことである。その言葉は、「葦原千五百秋瑞穂の国は、是、吾が子孫の王たるべき地なり。爾皇孫、就でまして治らせ。行矣。宝祚の隆えまさむこと、当に天壌と窮り無けむ」(日本書紀)というものである。 このような国家権力の正当性の根拠を人間を超えた神の意思に求める思想を神権主義と呼ぶ。王権神授説も神権主義と呼べるだろう。 このような思想が徹底すると、宗教的権威と世俗的な権力の区別をなくし、地上に神の国を実現しようとする神政制(theocracy)になる。 日本では、戦争が終わるまで、神国思想が鼓吹され、祭政一致とか天皇は現人神であるというような教育が行われた。 神社は国教的な地位を占め、神職