『ジェンダー目線の広告観察』(小林美香 著)現代書館 広告に使われる人物写真やキャッチコピー、デザイン、表現方法に注目し、そこからうかがえるジェンダー観を考察するワークショップや講演などを企画、さらに雑誌やウェブメディアでも発信を続けてきた小林美香さん。このほど刊行された『ジェンダー目線の広告観察』は、そんな小林さんの研究結果をまとめた待望の一冊である。 「もともと私は“作品”としての写真をテーマに研究をしてきました。が、2010年代後半くらいから、能動的に鑑賞する作品から、公共空間でいやがおうでも目に入ってくる“広告”に関心の対象が移り、広告の中での人物描写が気になるようになったんです」 そうして小林さんが始めたのが、身の周りの広告を文字どおり“観察”すること。本書の「広告観察日記 2018―2023」の章がそれだ。電車内を中心に、小林さんが撮影した広告の写真が、当時SNSに投稿したコメ