プレーした国は日本、ブラジル、ベルギー、セルビア、そしてアメリカ。 類を見ない経歴を持つ男は、何を求めて世界を彷徨したのか。 その人生観と信念を語った。 2011年3月11日。その日、多くの人々がそうだったように、鈴木隆行の運命も激流にのみ込まれた。昨秋、3シーズン所属した北中米リーグのポートランド・ティンバースで引退を決意し、チームから持ちかけられたコーチ就任の話を受けようとしていた矢先、未曾有の大震災に遭う。交渉の途中、アメリカから一時帰国した翌日のことだった。 妻と1歳の愛娘を連れ、都内に買い物に出掛けていたとき、尋常ではない揺れを感じた。すぐに車に飛び乗り、自宅へと向かったが、その間も余震は続き、ビルとビルの合間を走り抜けながら恐怖を覚えた。道の両脇には人が溢れかえっている。とんでもないことが起きているという感覚に身の毛がよだった。 茨城県日立市にある実家はしばらく音信不通となり、