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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (3)

  • 40超えたら突き刺さる『タタール人の砂漠』

    ある種の読書がシミュレーションなら、これは人生の、それも自分の人生の「手遅れ感」の予行演習になる。若い人こそ読んで欲しいが、分からないかも。歳経るごとにダメージ増、over 40 からスゴ。 この感覚は、カフカの『掟の門』。かけがえのない人生が過ぎ去って、貴重な時が自分の手からこぼれ去った、あの「取り返しのつかない」感覚に呑み込まれる。 大事なことは、これから始まる。だからずっと待っていた。ここに来たのは間違いだから、気になれば、出て行ける。けれど少し様子を見ていた。習慣のもたらす麻痺が、責任感の強さという虚栄が、自分を飼いならし、日常に囚われ、もう離れることができない―――気づいたらもう、人生の終わり。 カフカの再来と称されたブッツァーティは、『神を見た犬』でも示すとおり、寓意性の高い幻想譚を描く。物語の面白さにうっかり釣り込まれると、極めて当たり前の、普遍とも言えるメッセージを突付

    40超えたら突き刺さる『タタール人の砂漠』
  • このハヤカワがスゴい!

    オススメをもちよって、まったり熱く語り合うスゴオフ、今度は「ハヤカワ」だ。 つまり、早川書房が肴だ。SF、NV、JA、HM、NF、FT、epi、演劇、もちろんハードカバーやミステリマガジンもOKだ。それではと、ハヤカワ・マイベストを選ぼうにも……これがすっごく難しい。「この新潮文庫がスゴい!」と同じで、素晴らしいがありすぎるのだ。 「ハヤカワといえばSFだろ常識的に考えて」、「ハヤカワといえばミステリの王、いや女王」という意見がある。全面的に賛成……なのだが、わたしの傾向では、NV(ノヴェル)やNF(ノンフィクション)を好んで読む。シリーズ丸ごと推したいのがハヤカワepi文庫。epiとは、"epicentre"の略で、「震源」のこと。海外小説の素晴らしさを伝える発信源たる思いが込められているという(こっそり「よりぬきハヤカワさん」と呼んでいる)。スゴが、傑作が、徹夜小説があまりに多

    このハヤカワがスゴい!
    dydr
    dydr 2012/04/20
  • 3週間でやりなおす「高校数学の教科書」

    習うより慣れろ、学ぶより真似ろ。 やりなおし数学シリーズ。いつもと違うアタマの部分をカッカさせながら、3週間で一気通貫したぞ。もとは小飼弾さんへの質問「数学をやりなおす最適のテキストは?」から始まる。打てば響くように、吉田武「オイラーの贈物」が返ってくる……が、これには幾度も挫折しているので、「も少し入りやすいものを」リクエストしたら、これになった。 書の特徴は、「つながり」。アラカルト方式を改め、高校数学の体系を一化しているという。なるほど、上巻の「数と式」の和と差の積の形に半ば強引に持ち込むテクは、下巻の積分の展開でガンガン使うし、図形と関数はベクトルと行列の基礎訓練だったことに気づかされる。ベクトルが行列に、行列が確率行列に、さらに行列がθの回転運動や相似変換に「つながっている」ことが「分かった」とき、目の前がばばばーーーっと広がり、強制覚醒させられる。 上巻 1章 数と式 2章

    3週間でやりなおす「高校数学の教科書」
    dydr
    dydr 2011/06/17
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