ホウセンカ(ツリフネソウ科)から吸蜜中のハナバチ。蜜は萼片の細長い突出部(距)の先端にあり、ハナバチは広がった花弁を足場に、距の入口手前にあるオレンジ色の蜜標を目標に花に潜り込み、口吻を伸ばす。一連の過程で、ハナバチの進路に上から垂れ下がった葯の先端または柱頭がハチの後頭部に接触する。 花の特徴によって訪れる送粉者の動きが制御される場合がある。例えば、ホウセンカやツリフネソウの花では、ハナバチが花のどこに脚を掛け、どのように動いて蜜を目指すかは、ほぼ決まっている。 送粉者の制御には、次のような要素が関わっている。 蜜腺の位置 花被の斑点や色分け模様のような蜜のありかを示す目印(蜜標[nector guide]) 送粉者が脚を掛けやすい足場 葯と柱頭の位置 A~Cによって送粉者の動線が決められ、それに合うようにDが設定される。 訪花者の制御には、次のような利点がある。 葯や柱頭が送粉者の体表